まだまだ残念ながら「防錆管理士」という資格の社会的認知度は低いようです。建築分野であれば、設計士のほうが社会的な認知度は高めです。しかし防錆塗装については、設計士は必ずしもきちんとした知識があるのか怪しいことはあります。
三年ほど前にある自治体の担当者に言われ、防錆塗装が可能なのか否か調査しました。その施設は海岸近くの鉄骨の建物でした。
現地で外観調査をし、カナヅチも持参していきました。想像したとうりかなり錆が出ていました。柱の部分をカナヅチで軽く叩きますと、なんと穴が開きました。他の場所も調査しましたが、同様の状態でした。
調査の結果は「錆が想定以上に進行しています。このままでは倒壊するおそれもあります。撤去するようにすべきです。」と進言しました。
自治体に立ち寄り、前回改修時の資料を見せていただきました。それによりますと改修したのが十年前。手すりはアルミ製に取り替えられています。建物の屋根もスレートが取り替えられています。準外部の床面も防水がやり変えられていました。
問題の鉄骨部は、色直しをしているだけ。現場で確認しましたが、全く防錆塗装はされていません。錆で穴があいている箇所も多い。施工図面で見ると塗装は海辺に近いのになんと「油性錆止め+OP塗りの2回塗り」いたるところにアルミテープを鉄骨に貼り付けて上を塗装しているお粗末さ。これでは潮風が吹き付ける海浜部ではとても持ちません。
つまり十年前の改修工事では、設計士が改修プランをこしらえていますが、全く防錆塗装の配慮がされていませんでした。
結局鉄骨の建物部をすべて撤去することに。屋根部がなくなると簡易防水しているだけの床面では防水が完全ではないので、雨漏りが酷く、コンクリ部に亀裂が入っているようです。
鉄骨部の防錆塗装設計が間違っていただけで、大変な税金の出費です。財政難のおり実に無駄な出費であると思いました。
自治体や鉄構造物を管理されている皆様。防錆塗装の場合は、是非「防錆管理士」にご相談ください。適切な防錆塗装システムを提案いたしますので。