作家五木寛之氏のエッセイ「若き友よ」(幻冬舎・1995年刊)を図書館で借りて読みました。
そのなかで五木氏はこう述べています。
「神社はむかしもいまも、ずっとカワラを使っていません。
寺でも。日野の法界寺の阿弥陀堂はカワラではなく、檜皮ぶきです。ぼくはあの阿弥陀堂のゆるやかに先のほうに反り返った屋根の曲線が大好きです。直線を組み合わせた裳階(もこし)と呼ぶひさしも美しい
日本人には、石やカワラよりも、植物を使った建築のほうに心を惹かれる傾向があるでしょうか。」(P64)とあります。
先日あるお客様のご要望で、ある神社を訪問しました。
そちらの神社の屋根は確かに瓦屋根ではありません。石綿スレート板でした。カラーベストというのでしょうか、薄いスレート地が積層された屋根でした。その継ぎ目の防水が痛んで、屋根裏の鉄骨部が1部錆びているというので、調査に行きました。
調査をしましたが、屋根の水が漏れた部位の鉄骨のみ錆びていました。他は全く錆びていません。防水処理はきっちりやるそうですので、後々の水漏れはありません。
屋根裏ですので、紫外線の影響もありません。また人目にも触れませんので、上塗りを塗装する必要性もありません。
素地調整は 歯ブラシ状のワイヤブラシなどで、錆落とし作業をします。
防錆塗装 は ラストボンドSGを塗装します。
それで防錆塗装すれば、今後は錆の心配はありません。
靖国神社も屋根に瓦を使用しています。神社が瓦屋根を全然使っていないということではないとは思います。でも全体的には瓦を使っていない傾向であることは確かですね。
屋根裏の防錆塗装の助言をさせていただきました。貴重な体験でした。