サビ問題解決事例

サビ問題解決事例

こうなる前に防錆対策相談を・・・ (海沿いの鉄骨)

 私は「防錆管理士」という資格を所有しています。ある自治体から「現地調査していただきたい。防錆塗装で持つのか、どうなのか判定していただきたい。」との依頼がありました。
  
 これはいつも官公庁や電力会社あ所有の鉄構造物などで行っているM・A・P(Maitenansu Audit Program)の一環で調査しました。「塗膜診断システム」をしたのです。

 塗装条件は、現場の環境によってすべて異なっています。ご要望があれば現地調査し、最適の長期防錆システムを提案いたします。また塗装後の追跡調査も行っています。
 塗料を単に販売するのではなく、塗膜診断システム、長期防錆システムを提案しています。
「ライフサイクルコストの低減」「環境負荷の低減」も提案いたします。
 
 
 調査当日は、ハンマーと写真機、それと碁盤目試験器も持参しました。指定された調査場所へ行きました。
 
 
 ハンマーを持参し軽く鉄骨部を叩いてみました。するとこぶ状の錆が落下、更に軽く叩きますと鉄骨部に穴が開きました。これは酷い錆。
 
  階段部も錆で穴があき、危険です。昇降禁止の措置が必要でしょう。
  

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 基礎の部分はコンクリート内部で鉄骨部が錆て、体積が膨張いわゆる「バクレツ」現象がおこっていました。

 

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 防錆塗装対策を全然鉄骨部ではしていないようです。6年前の改修でも全く考慮されていませんでした。
 
 
 調査した日の6年ほど前の改修工事では屋根と床面の防水、それに手摺(アルミ製に取替え)はきちんとされていました。屋根を支えるべき鉄骨部がどうしてきちんとした防錆塗装がされなかったのか不思議です。
 
 調査しますと今から6年前に屋根や手摺、床などはきちんとコストをかけて改修していました。ところが塗装は海辺に近いのになんと「油性錆止め+OP塗りの2回塗り」いたるところにアルミテープを鉄骨に貼り付けて上を塗装しているお粗末さ。

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 建築設計事務所が調査していたのに、きちんとした防錆塗装を改築仕様書では指示していないのです。 海浜地区なのです。潮風の影響もあるのに。

 防錆管理士として腹がたちます。設計事務所にこういう具合に防錆塗装がないがしろにされるのを見ますと。。・

 こうなる前に自治体の皆様には相談いただきたかったと思いますね。撤去する費用も税金。新たに「屋上防水」するのも税金です。
 
 
(対策)
 
 ひどい錆の鉄骨部は除去し、屋根を活用するのであれば補強が必要でしょう。補強した場合の防錆塗装につきましては、「カーボマスチック15J 2回塗り」を推奨いたします。

  その後の結果は、行政側は私の提言にもとづき再調査し、「危険」と判断して鉄骨を撤去しました。屋根がなくなってしまい「簡易防水」しかしていない床面は、天井になったので、屋外仕様に耐えることができなくて、コンクリート部に亀裂が入り、下の部屋は雨漏りが大変になり、またまた補修費用がかかるようです。

 この場合も鉄構造物管理者である行政担当者が、「防錆管理士」にご相談いただいておれば、こういう事態にはなりませんでした。まことに残念な事例です。

 自治体は大変な財政難。きちんとした防錆対策ができないために、結果として多額の出費が必要になります。