Q 自宅は傾斜地にあり下側にある道路から約1.8メートルの高さまで盛土をした敷地の上に建設されております。敷地の一角はその高低差を利用し1台分の駐車スペースをとっております。駐車スペースの半分強にはその上に自宅が乗っている形になっております。
築15年近くなりますが建設時は当然業者による防錆塗装が施された後、以降1、2度自分で塗装致しました。現状かなり錆が目立つ状態になっており、また防錆塗装しようと思っているのですが、御社がメールでのご相談に乗って頂ける事を知り、今回は専門的なアドバイスを頂いた上で行えればと考えている次第です。
写真を添付致しますので、状況をご覧いただき、アドバイスいただける様でしたらご連絡いただければありがたく存じます。
よろしくお願いいたします。
A 数あるホームページのある中で、弊社サイトを閲覧いただきありがとうございました。
また質問もいただきました。担当の西村健一と申します。
写真も送付ありがとうございました。
かなり様子がわかります。ありがとうございました。
ご相談は電話でのやりとりや、メールでのやりとりが多いのですが、現場写真がございますと本当に助かります。
錆びている原因や、現在の塗装面の不良の原因が判明すれば、対策をすれば大丈夫です。ご自宅の環境は自然環境に恵まれた住宅地。塩害の影響もございません。
写真の鉄骨の車庫の状況は、「錆が発生している」箇所と、上塗りの塗膜と下塗り錆止め塗料との間の「層間剥離」の現象が起きています。
*「層間剥離」(そうかんはくり)について説明いたします。
多くの塗料の場合、乾燥硬化後2、3年後に塗膜が硬くなり柔軟性を失い、塗膜が収縮し素地との間で剥がれたり、めくれたりする現象を言います。
写真から観察しますに、下塗りの錆止め塗料と上塗りとの間で剥離しています。
原因は下塗りの塗料が、経年変化で塗膜が硬く引き締まること。上塗りの塗料もまた経年変化で硬くなり、柔軟性がなくなり、鉄骨の縮小ー拡大の変化についていけず、塗膜が割れてしまっています。
業界用語では「花が咲いている」なんて言います。
*よく建設工事現場の囲う塀は亜鉛メッキです。美装の為にペイントを塗ります。多くは油性ペイントのため、きちんと処理をしないと亜鉛メッキには付着しません。半年以上経過するとお写真の車庫の鉄骨のような現象になります。
現場は日当たりも良く、紫外線の影響で、塗膜の表面が破壊された影響もあります。
錆びている部位は、経年変化で塗膜が破壊され、雨水などが進入し、錆が発生したと思われます。
またボルト部などは、錆止め塗料や上塗り塗料が付着しにくい箇所であり、どうしても薄塗り傾向になるためにその箇所からの錆が発生しやすくなります。
橋梁や鉄構造物でも接合ボルトからの錆が先行します。
(対策について)
1)錆びている箇所について
所有されておられたら電動工具(サンダー)などで、錆を入念に除去してください。
電動工具をお持ちでなければ、ワイヤブラシ、金タワシ、サンドペーパーなどで入念に除去してください。
錆落とし作業は辛く、辛気な作業ですが、1番大事な作業です。
2)層間剥離している塗膜について
錆びている箇所同様に、各種錆落しの道具を使用して、入念に除去いたします。
この塗膜は「死んでいる」ので、すべて取り除かないといけません。
(仮に十分に除去せずに上に塗料を塗れば、またも2年以内に同様の現象が起きます。)
3)健全そうな塗膜について
目視だけでは、「生死判定」はわかりません。
そこで簡単な生死判定がありますので、実施ください。
以下の記事にその方法がございます。
「付着力評価基準」をご参考ください。
https://www.nc-21.co.jp/consulting/consulting1/
塗膜に物差しとカッターナイフで碁盤目かクロスカットします。そのうえにセロテプを貼ります。爪で伸ばし貼り付けます。
そして剥がします。
カットした部分のみの塗膜だけがセロテープにくっついている場合は、塗膜は「生きています。」
「生きている」場合でも塗膜の表面は硬くなっています。ワイヤブラシなどで表面を」目荒しをしてください。
それは塗料の「足がかり」をこしらえる作業です。そうしますと上塗り塗料が良くなじみます。付着します。
(防錆塗料について)
錆や、層間剥離箇所の除去、健全な塗膜の目荒しが終了しましたら、鉄骨の廻りや、床等を養生作業をしてください。
防錆塗料は「カーボマスチック15Jグレー」をお奨めします。塗料の説明です。
https://www.nc-21.co.jp/products/carbomastic/
高性能な防錆塗料ですが、誰にでも塗装できます。(参考事例です)
カーボマスチック15Jグレーを2回か3回
塗装すれば防錆対策は大丈夫です。
https://www.nc-21.co.jp/case/post_10/
https://www.nc-21.co.jp/case/post_9/
記述が大変長くなりました。