防錆Q&A

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ポンプ場のどぶ漬け亜鉛メッキ面への塗装について

Q ポンプ場の機械設備を製作しましたが、その塗装仕様が、Znドブメッキ面(HDZ55)へ内側になる面は、3種ケレン後タールエポキシ塗装(220μ),外面は、3種ケレン後、下塗りとしてエポキシ樹脂サビ止メ塗料(亜鉛メッキ用)2回(70μ)、中塗りとして、エポキシ樹脂塗料(30μ),上塗りとして塩化ゴム系塗料(30μ)というものでした。
 
 現地据付後、役所より外面の塗料が面で剥がれてきているとの連絡があり、調査しますと亜鉛メッキ面より塗装が大きく剥がれ落ちている部分がありました。内面については、剥がれはありませんでした。この時点では、この機器に関していは製作時、工程の関係上、メッキのカラシの期間が少なかったので、これが原因でないかと思われ、剥がれていた部分をすべてパワーツールで落とし、活膜はそのままにして再度塗装をしました。
 
 ところが今年に入って、活膜であった部分が剥がれてきました。また、当時十分塗装前にカラシ期間をとっていた他の機器からも剥がれが生じてきました。ただし、前年剥がれていた部分をすべてパワーツールで落とし、白サビを除去した部分は今のところ大丈夫の様です。
 しかし、今回再塗装を行っても、剥がれがないという保証はないので、何かいい手法があれば教えて頂ければ幸いです。

 

 

A 少し長くなりますが、「原因と対策」について述べさせていた
だきます。

亜鉛メッキへの塗装が剥離する原因

 一般的に塗料の付着が良くないとされています。
その理由として考えられる項目はいくつかあります。

1)亜鉛表面は活性度が高く化学的に不安定。塗膜との界面で
  腐食生成物を生じやすい。

2)特に脂肪酸などのエステルを含む油性、アルキド樹脂系塗料は
  亜鉛と反応し、脂肪酸亜鉛(金属石鹸)を形成、脆い層になり
  付着力が低下、やがて剥げます。

3)メッキの平滑性向上のための塩化アンモニウム、塩化亜鉛など
  潮解性のワックスが表面に残存していますと塗膜の付着は良くあり
  ません。剥離します。

4)機械油、結露水分などが亜鉛メッキの表面に付着していましても、
亜鉛メッキの表面の色と、光沢のため肉眼では異物の付着の判別が極めて困難です。それらの異物が原因での塗膜の剥離もあります。

5)不安定な白サビ(亜鉛の急速酸化に伴うルーズなかさ高い腐食形成物)の除去が不十分ですと、塗膜の剥離の原因になります。


6)メッキの冷却時に、亜鉛の結晶境界線(スパングル)が生じます。
  そのなかには不純物が出来、剥離しやすくなります。

 これらの項目に該当するケースがあるのではないでしょう
 
 
 一方亜鉛メッキ塗装に適した塗料の条件を挙げてみます。
 
1)塗料が液状から硬化乾燥する場合に、「体積収縮ー内部応力が発生」が少ないハイソリッドー無溶剤型塗料

2)塗膜が柔らかいこと。塗膜の割れや、歪に抵抗力があること。


3)薄膜でも防錆力に優れているもの。


4)エポキシ樹脂のように構造上,極性基が多く付着の活性点として
  生かされている事。


5)エポキシ樹脂塗料のように耐久性、耐薬品性(特に耐アルカリ性)が優れ、亜鉛との反応性がない塗料であること。

 という条件を満たす塗料は[カーボマスチック15J」です。
 亜鉛メッキ面の新設、既設を問わず多数の実績があります。

 私の関与した25年間、剥離などのクレームは1件もありません。

 ご質問から考えられますのは

1)塗装前の脱脂や不純物の除去が不十分であった。

2)使用されたエポキシ樹脂塗料が亜鉛メッキ面との付着性がよくなかった。

 (例)一液型のエポキシエステルタイプの塗料は亜鉛メッキと相性は良くありません。

3)白錆の除去が十分ではなかった。

 と考えられます。

 (その場合の対策は)

* 脱脂を十分にします。

* 動力工具、サンダーなどで目荒らしをします。白錆は完全除去。

* 剥離した塗膜は、完全に除去します。

* 活膜部分に対しても[劣化度判定」をします。低い場合は塗膜は完全に除去します。

  付着力評価基準  https://www.nc-21.co.jp/consulting/consulting1/

* 塗装する塗料ですが、カーボマスチック15Jをお奨めします。
  2回塗り、もしくは3回塗りをお奨めします。